研究概要 |
NK細胞活性(NK活性)は免疫感作が明かにない正常個体のリンパ球がIn vitroの細胞障害性を示す現象で,病原菌M.Iepraeに特異的免疫不全状態の明かなIepromatous type(LL)でNK活性値の変動が顕著に観察されると期待された。LL5症例(50検体),bourderline lepromatous(BL)6症例(43検体),middle borderline(BB)6症例(10検体),borderline tuberculoid(BT)10症例(17検体),tuberculoid type(TT)2症例(2検体),indeterminate group(I群)3症例(3検体)の未治療例及び治療中の症例に関し検討した。LLは20〜75歳(平均44歳),BLは44〜70歳(53.7歳),BBは35〜55歳(43歳),BTは21〜91歳(65.2歳),TTは65歳と55歳,I群は26〜55歳(42.3歳)だった。LLの未治療4例では11〜69%(平均36.3%)と一定の傾向はないが臨床所見や治療経過との相関が推定された。LLの全例で治療経過中に低下傾向を示し,病原菌破壊と病原性喪失の結果として代償機転低下に転じたものと推測された。その低下傾向はerythema nodosumleprosum(ENL)やdowngrade (borderline) reaction時に大きく,この反応はTh_2やCD8T細胞活性主体との考えに一致する。BL4例の初診時測定値は,長期ステロイド投与中症例(20%)を除き,ほぼ基準値内(18〜40%)だが35〜43%(平均38.3%)と比較的高値を示した。BB4例の初診時は19〜76%,治療例13〜76%で一定の傾向は見られない。BTは病原菌に対する比較的強い細胞性免疫のため低値が予想されたが初診時及び治療中の測定値とも高値傾向を示した。BTではborderline upgrade reaction状態で発症し早期治癒に至るケースが比較的多く,この反応がTh_1活性主体とする考えに一致し,活性値の高値傾向の誘因と推測された。しかしHIV感染leprosy患者では,この反応が多いとの報告に矛盾すると考えられ,さらに検討を要する。またBT例に関し,漢方医学での実証症例で比較的高値,虚証例で比較的低値,中間証例では中間の値を示す傾向が見られた。今後,証を正確に取っていきたい。TTの2例は基準値内の比較的低値で免疫不全代償機転の関与は小さいと推測された。I群の3例は19〜40%(基準値内)で一定の傾向は見られない。現在,各病型の臨床所見及び治療経過とNK活性値やTh1,Th2,CD8T細胞,CD4/8,CON-A,PHA,IL-2,IL-2リセプター等との関係を検討中である。
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