1.皮膚混合腫瘍における陰性荷電部位の分布 (1)エックリン汗腺とアポクリン汗腺は、陰性荷電部位の分布と酵素消化性において、明確に異なっている。この性質を汗腺腫瘍の1型である皮膚混合腫瘍の診断に応用した。陰性荷電部位の検出はcationic goldを用いた。Cationic goldと反応させる前に、chondroitinase ABC、heparitinase、neuraminidase、hyaluronidaseによる消化を行い、陰性荷電部位を構成している分子を明らかにした。 (2)皮膚混合腫瘍の管腔内面はcationic-goldにより標識された。Neuraminidaseで前処理することにより、この部位はcationic goldで標識されなくなった。したがって、皮膚混合腫瘍の管腔構造の内腔面にはシアル酸が存在していた。このcationic goldの標識様式はアポクリン汗腺分泌部に一致しており、エックリン汗腺分泌部や汗管とは異なっていた。 2.汗腺におけるEGF刺激活性物質の分布 人間の汗にはEGFが含まれ、人汗腺にはEGF受容体が存在する。人汗腺における総EGF受容体、活性型EGF受容体、C-Raf、A-Rafの分布を共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて検討した。エックリン汗腺では分泌細胞と汗管細胞の核に活性型EGF受容体が存在した。アポクリン汗腺では分泌細胞の細胞質と核に活性型EGF受容体が存在した。C-Raf、A-Rafの分布は活性型EGF受容体の分布に一致していた。これらの結果はEGFは汗腺分泌細胞で産生されinternal autocrineの機序で分泌細胞自身の機能を調節し、汗管にはparacrineの機序で機能を調節していることを示している。
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