研究課題/領域番号 |
08670978
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
嵯峨 賢次 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10153925)
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研究分担者 |
山下 利春 札幌医科大学, 医学部, 講師 (50167706)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / コリン性発汗 / 精神性発汗 / エックリン汗腺 / アポクリン汗腺 / EGF / EGF受容体 / Raf |
研究概要 |
1. アトピー性皮膚炎における発汗異常 アトピー性皮膚炎患者では免疫学的異常、皮膚バリアー機能異常の他に、種々の皮膚生理機能異常が存在することが知られている.アトピー性皮膚炎患者の発汗異常に関しては多くの研究が行われているが、定説はない.持続的に鋭敏に発汗量を測定できる機器を用いて、アトピー性皮膚炎患者における、コリン性発汗と精神性発汗を健常人と比較検討した. 健常人では、持続発汗測定器とろ紙法の結果は一致した.アトピー性皮膚炎患者では、ろ紙法による発汗量の測定値は実際の発汗量よりも低い値を示した.アトピー性皮膚炎患者ではバリアー機能が低下しているために、汗が角層に吸収されてしまうのが原因と考えられる.持続発汗測定器で測定した結果では、アトピー性皮膚炎患者ではピロカルピン誘導性発汗は持続時間が有意に延長していた.精神性発汗に関してはアトピー性皮膚炎患者と健常人の間には有意差はなかった.これらの結果は、アトピー性皮膚炎患者ではエックリン汗腺におけるコリン刺激の不活化機能に異常があることを示している. 2. 汗腺におけるEGF刺激活性物質の分布 人間の汗にはEGFが含まれ、人汗腺にはEGF受容体が存在する.人汗腺における総EGF受容体、活性型EGF受容体、C-Raf、A-Rafの分布を共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて検討した.エックリン汗腺では分泌細胞と汗管細胞の核に活性型EGF受容体が存在した.アポクリン汗腺では分泌細胞の細胞質と核に活性型EGF受容体が存在した.C-Raf.A-Rafの分布は活性型EGF受容体の分布に一致していた.これらの結果はEGFは汗腺分泌細胞で産生されInternal autocrineの機序で分泌細胞自身の機能を調節し、汗管にはparacrineの機序で機能を調節していることを示している.
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