乳房外ページェット病(EMPD)における陰性荷電部位の分布と酵素消化性をcationic goldを用いて検討した。その結果から、EMPDがエックリン汗腺へ分化しているのか、あるいはアポクリン汗腺へ分化しているかを明らかにした。EMPDはアポクリン汗腺型の陰性荷電部位を発現しており、エックリン汗腺や表皮の陰性荷電部位とは性質が異なっていた。これらの結果はEMPDがアポクリン汗腺へ分化していることを示していた。 汗腺腫瘍の1型である皮膚混合腫瘍における陰性荷電部位の分布と酵素消化性を検討した。皮膚混合腫瘍の管腔構造の内腔面にはシアル酸が存在していた。このcationic goldの標識様式はアポクリン汗腺分泌部に一致しており、エックリン汗腺分泌部や汗管とは異なっていた。 人汗腺における総EGF受容体、活性型EGF受容体、C-Raf、A-Rafの分布を共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて検討した。エックリン汗腺では分泌細胞と汗管細胞の核に活性型EGF受容体が存在した。アポクリン汗腺では分泌細胞の細胞質と核に活性型EGF受容体が存在した。C-Raf、A-Rafの分布は活性型EGF受容体の分布に一致していた。これらの結果はEGFは汗腺分泌細胞で産生されinternal autocrineの機序で分泌細胞自身の機能を調節し、汗管にはparacrineの機序で機能を調節していることを示している。 持続的に鋭敏に発汗量を測定できる機器を用いて、アトピー性皮膚炎患者における、コリン性発汗と精神性発汗を健常人と比較検討した。持続発汗測定器で測定した結果では、アトピー性皮膚炎患者ではコリン性発汗は持続時間が有意に延長していた。精神性発汗に関してはアトピー性皮膚炎患者と健常人の間には有意差はなかった。これらの結果は、アトピー性皮膚炎患者ではエックリン汗腺におけるコリン刺激の不活化機能に異常があることを示している。
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