先天性角化異常症である常染色体劣性葉状魚鱗癬のモデルとして、その原因遺伝子のひとつであるトランスグルタミナーゼ1(TGase1)遺伝子のノックアウトマウスを作製した。相同染色体組み換えを利用して、ES細胞においてTGase1遺伝子にヘテロの変異をもつESクローン得るために、まず、ヒトTGase1 cDNA (2.6kb)の配列をもとにプライマーを作製し、CD-1マウス表皮RNAを鋳型としてRT-PCRを行った。得られたマウスTGase1 cDNAを用いて、129/SvJゲノムライブラリーをスクリーニングし、129/SvJマウスのTGase1ゲノムDNAを単離し、そのプロモーター領域とエクソン1を含むゲノムDNAの両側の領域をターゲティングベクターpPNTに組み換えた。得られたターゲティングベクターをESに導入し、20の変異ESクローンを得た。そのなかで、核型に異常のないESクローンを、マイクロインジェクションによりC57BL/6の胚盤胞に導入し、キメラマウスを作製した。キメラマウスをC57BL/6と交配して、F1ヘテロ変異マウスを得、ヘテロの交配によってホモ変異マウスを作製した。TGase1の遺伝子構造をPCR、サザン法によって確認した結果、得られた新生仔マウスは、TGase1遺伝子を欠損したノックアウトマウスであることが証明された。現在、TGase1ノックアウトマウスの表現型を解析するとともに、正常遺伝子導入を行っている。
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