1悪性シュワン細胞腫由来細胞のヒト皮膚肥満細胞(HSMC)生存に及ぼす影響 ヒト皮膚肥満細胞を単層に発育した悪性シュワン細胞腫由来細胞と共生培養し、線維芽と培養した場合、あるいはこれらのfeeder layerを用いない場合で形態や存在に変化があるかどうかについて検討を行った。その結果、HSMCは悪性シュワン細胞腫由来細胞と共生培養した場合において正常ヒト皮膚由来線維芽細胞をもちたい場合、およびfeeder layerを用いなかった場合にくらべて有意にその生存を亢進した。すなわち、われわれの得た悪性シュワン細胞腫由来細胞はHSMCの生存に好都合な環境を提供していることがわかった。形態学的にはfeeder layerがない条件では円形を呈する肥満細胞は、悪性シュワン細胞腫由来細胞や線維芽細胞と培養した場合に細長くなることが判明した。これは両者の間に密接な細胞間相互作用の存在することを示唆すると考えた。2悪性シュワン細胞腫由来細胞のHSMC分化、増殖因子の検討 本細胞が肥満細胞増殖因子であるstem cell factor(scf)を産生するかどうかについてRT-PCRを用いてmRNAレベルで検討した。神経線維腫細胞や正常線維芽細胞はSCFmRNAレベルで検討した。神経線維腫細胞や正常線維芽細胞はSCFmRNAを発現したが、悪性シュワン細胞腫由来細胞では発現がみられなかった。これは悪性シュワン細胞腫由来細胞のHSMC生存促進作用がSCFmRNA以外の物質を介するものであろうと想定された。
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