プロテアソームとサイクリンの表皮内局在およびケラチノサイトの分化とプロテアソームとの相関に関する研究を行い以下のような結果を得た。 1。 プロテアソームの皮膚内局在 (1) 酵素活性では、その比活性が顆粒層、有棘層で最大を示し、角層、真皮では低値であった。 (2) 酵素蛋白の発現をプロテアソームモノクローナル抗体を用いてイムノブロット法にて検討したところ、顆粒層、有棘層でのみプロテアソームの発現が認められた。 (3) 免疫組織学的には、表皮特に顆粒層〜有棘層の細胞質、核に陽性所見が認められたが、分裂細胞である基底細胞では陰性であった。 2。 表皮細胞の分化とプロテアソーム 培養表皮細胞を高Caにて分化させた時のプロテアソームの発現を検討した。その結果、プロテアソームmRNAとプロテアソーム蛋白は分化に伴って経時的に増加した。 3。 サイクリンの皮膚内局在 サイクリンAは正常皮膚では認められなかったが、乾癬表皮では強く認められた。サイクリンDは正常、乾癬ともに認められなかった。 以上の結果は、プロテアソームが表皮細胞の分化に直接関与していること、サイクリンAは表皮の増殖に関与していること、表皮細胞の増殖性疾患である乾癬の病像形成にもプロテアソームとサイクリンが関与していることを強く示唆している。
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