研究概要 |
1) NF1遺伝子診断法の確立: NF1遺伝子変異の検出方法として我々は,患者DNA(constitutionalならびにsomatic DNA)を被検材料とし,NFlエクソンごとにPCR法で増幅し,この産物をsize-shift法ならびにSSCP法を用いて変異の検出を行う方法を開発した.また最近,この方法では検出不可能であるNF1遺伝子のほぼ全欠失といった遺伝子変異を検出するため,MS-PCR法とFISH法を組み合わせた解析法を報告した. 2) NFV患者におけるNF1変異の解析: NFVやlocalized cafe-au-lait spot患者におけるNF1遺伝子変異の状態を検索するのが目的である.こうした患者は卵割期のある時期に,一部の体細胞においてNF1遺伝子がmutationを起こした結果,限られた身体の一部の細胞がNF1様の変化を呈しているものと仮説されているが,未だ証明はされていない.NFVやlocalized cafe-au-lait spot患者の末梢血白血球分画,罹患部位の皮膚,色素斑ならびに神経線維腫,正常部位の皮膚,さらに可能であれば精子や卵子についてDNAを抽出し,変異の解析を行なっている.また,我々は非常に興味ある症例として,モザイク型のNF(segmentsal NF)より完全なNF1を生じた2家族例を経験し,報告した.こうした報告は全世界で4例しかない.この2家族例については既に検体を採取済みであり,これについてNF1変異の解析を予定している. 3) NF1遺伝子のsecond hit変異の検出: Constitutional NF1 mutation(1st hit)としてNF1 large deletionのある患者に生じた良性の神経線維腫において,somatic mutation(2nd hit)の検索を行ない,その結果,NF1のエクソン4b,cDNA position543-546における4bpのsmall deletionがあることを検出した.NF1の両アリルにおける変異を明らかにした報告はこれが最初である.
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