研究概要 |
【概要・経過】MRによる骨粗鬆症の診断がT2^★値の測定で可能かどうか検討した。まず骨髄でinphase、out of phaseの現象が観察されるか否か正常ボランティアで調べた。つぎに、長期にステロイドを使用し骨粗鬆症のリスクの高い患者と、ステロイドを使用していない患者を対象にT2^★を測定した。装置は1.5テスラの超伝導MRIで、TR=500msecのGradient Eoho法を用いた。matrix sizeは234×256で腰椎と大腿骨頭が一つのスライスに入るような冠状断を撮像した。【結果】(1)TEを4.1msecから1.61msecまで0.4msecずつ変化させて、5名の健常ボランティアの腰椎と大腿骨頭の信号強度を測定した。初回のTE=4.1msec以降はoff lineにして、同じreciever gainで撮像した。腰椎ではin phaseとout of pfaseとが明瞭に観察された。5名平均のTEはin phaseが4.5,9.3,14.1msec、out of phaseは6.9,11.7,16.5msecで、1.5テラス装置でいわれている一般的な値とほぼ同等であった。In phaseあるいはout of phaseでの信号強度の対数をプロットするとほぼ直線となり、その傾きが1/T2^★として計算された。大腿骨頭ではこれらの現象が不明瞭だったため、以後はin phaseとout of phaseのみのTEで腰椎の信号強度を計測した。(2)長期ステロイドを使用している13名と、ステロイドを使用していない11名の腰椎のT2^★を計算した。測定には約10分を要した。T2^★はin phaseとout of phaseの両者から計算されるが、使用群のout of phaseでは信号強度のばらつきが非常に強くT2^★を反映していないと考えられたため、in phaseからの値で比較すると、ステロイド使用群では0.18、非使用群で0.097と差が見られた。また、in phase,out of phaseから簡易的に計算される水/脂肪存在比では両群に差を認めなかった。T2^★の差は骨密度を反映している可能性があるが、さらに例数を増やして検証する必要がある。
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