放射線腫瘍学の専門性を重視した地域間ネットワークの構築により、高いレベルの放射線治療を実現することを目的とした。放射線治療では、さまざまな癌を扱う割りには、医師数が少なく、臓器専門性を活かした医療ネットワークが有効であると予想される。われわれは、専用回線を用いてプライバシーを保持したままコンサルトできるためのネットワークの基礎を構築した。基幹病院として北海道大学に画像情報サーバを置き、他病院2施設とISDN、一般回線にて相方向の情報伝送を可能にした。さらに携帯端末を用いて、コンサルトされる医師は、病院以外の場所でも一般回線あるいはPHSを介して画像情報を見ながら、指示を与えることができるようにした。画像伝送速度は、JPEG圧縮により、実用に耐えうることが示され、国内(高知<->札幌)、国外(ソウル<->札幌)での画像参照を可能とした。特に伝送されたリニアコグラフィー画像で治療位置の確認が可能かどうかを評価するために、ROC解析を行い、その信頼性が、施設内にてフィルムを用いて行う場合と変わりないことを示した。患者の診察を実際にビデオを介して行う必要がある場合も、頭頸部腫瘍の肉眼的観察は可能であることが示された。伝送された画像を用いた治療計画、CT画像上の線量計算も可能になり、その運用を効率的に行うための基礎を確立した。
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