放射性医薬品を用いた簡便でかつ信頼性の高い腎機能解析法の開発を目的とした。 平成8年度の^<99m>Tc-MAG3の血漿流量の測定の研究に基づき、平成9年度は^<99m>Tc-DTPAのクリアランス算出法として報告されている8つの1点採血法につき、多点採血法をreference methodとしてその妥当性を確認するとともにBubeck法による糸球体ろ過率の算出法を検討した。既成の1点採血法で求めたクリアランスはreference methodで求めたものとすべて相関係数0.95以上で相関し、標準推定誤差も10ml以下であった。最も良い相関を示したのはJacobssonの方法で240分の血漿を用いるとreference methodと相関係数0.993で相関し、標準推定誤差も4.2ml/minと最低であった。Bubeck法でクリアランスを求める場合は、240分の血漿を用いた場合がreference methodと最もよく相関した。75分の血漿を用いると相関係数は0.868を低く標準推定誤差は17.2mlと大きかったが、120分の血漿では相関係数0.964、求めたクリアランスの標準推定誤差は9.4mlと日常臨床で使用可能と思われる結果を得た。この場合腎機能が低い症例で相関が悪い傾向があった。 以上より糸球体ろ過率が簡便な1点採血法で精度高く核医学的に定量できることが確認された。今まで報告されている1点採血法は欧米で普及しているが、日本人でも使うことができることがわかった。Bubeck法は体格の違う小児にも適応できることもあり、今回の結果で120分でもある程度の精度をもって糸球体ろ過率が測定できることから、日常臨床には最適な方法と考えられる。
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