研究課題/領域番号 |
08670996
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
塚本 江利子 北海道大学, 医学部, 助手 (40201636)
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研究分担者 |
甲谷 哲郎 北海道大学, 医学部, 講師 (70205350)
玉木 長良 北海道大学, 医学部, 教授 (30171888)
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キーワード | 高血圧 / 心筋肥大 / 脂肪酸代謝 / ACE阻害剤 / 心筋肥大の退縮 / 1-125-BMIPP |
研究概要 |
本研究は高血圧性肥大心における脂肪酸代謝につき、高血圧モデルとして高血圧自然発生ラット(SHR)、対照としてWister Kyoto Rat (WKY)を用いて以下の事柄を検討した。 1.高血圧性心肥大においてその進展とともにどのように脂肪酸代謝が変化するのか。5週、12週、15週、18週、51週のSHR、WKYにおける心筋血流製剤T1-201と脂肪酸代謝用製剤I-125-BMIPPの集積比(I-125-BMIPP/T1-201)を測定し、血流にみあった脂肪酸代謝の程度を検討した。その結果、SHRの心臓体重重比は5週からWKYより高く、集積比はどの週令においてもSHRでWKYより低かった(p<0.001)。その比は12週で両群とも高く、15, 18週と低くなった(p<0.05)が、51週では逆に高くなった。その傾向は両群で差がなかった。また、その集積比を内膜、外膜で比較したが、その傾向はSHRとWKYで有意差がなかった。 2.ACE阻害剤の治療前後で肥大心の退縮とともに脂肪酸代謝が回復するのか。 SHRに12週から15週までACE阻害剤であるカプトリルを投与したところ、血圧の降下とともに肥大心はその心臓体重比がWKYと有意差がないまでに退縮した、また、T1-201/I-125-BMIPP集積比もWKYの15週令の値と有意差がなくなった。これに対し、カルシウム拮抗剤であるヒドララジンを投与したSHRでは血圧の降下はみられるものの肥大心の退縮なく、集積比の変化がみられなかった。 これらの結果より、高血圧性肥大心では、血流に比し脂肪酸代謝が低下しており、ACE阻害剤で肥大が改善すると脂肪酸代謝も回復することがわかった。しかし、Dahi ratで証明されているような内膜と外膜の脂肪酸代謝の差はみられず、高血圧の発生機序などの違いがその原因かもしれないと思われた。
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