本研究の今年度の計画はmicronucleus assay法の基本手技の取得と、ラット部分肝の照射による肝組織の繊維化の評価であった。 micronucleus assayに関しては、まずin vitroで実験を行った。細胞としてmicronucleusの同定が容易とされるC3H/HeマウスのSCC VII腫瘍細胞を用いた。単離細胞をフラスコに約5×10^5個蒔き、10^<-5>Mのbromodeoxyuridineを添加、約24時間後にセシウム線源を用いて1〜5Gyの照射を行った。細胞数の増加を抑えるためにサイトカラシンB2μg/mlを培地に加え、24時間後にトリプシン処理、アルコール固定の後RNase、ethidium bromideで蛍光顕微鏡下にmicronucleusの出現頻度を計測し、線量との関係を観察した。多核細胞1個あたりのmicronucleus数を求め、5Gy照射時で約0.3の出現率であった。 予定ではラットの肝の外側部分に200KV X線を照射し、正常肝細胞におけるmicronucleusの出現を観察することになっていたが、照射装置の故障により、線源を5MVに変更すべく、小照射野のためのコリメータを作製し、線量測定を行った。 本年度は部分肝照射の後に、経時的に照射野内の肝組織を鍍銀、アザン染色等により観察し、繊維性組織の増生、照射部肝萎縮の時期を把握する。繊維化は起きているが、生残肝細胞も十分数確認できる時期、照射線量が特定できれば、その条件下においてmicoronucleus assayを行い、生残肝細胞の障害度、分裂能を評価したい。
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