従来言われている小核試験としてはFenech & Morleyの方法が一般的である。我々はリンパ球における小核試験を確立するために、彼等の方法をもとにしてin vitroでの基礎的実験を施行して検討し、我々に小核試験法を確立することを試みた。材料及び方法は、主にFenech & Morleyの方法に準じて行った。正常者(8名)から採血した血液をリンパ球分離溶液であるLymp Sep 5mlあたり5mlの血液となるように調整し1700回転30分遠心しリンパ球層を分離しリンパ球を得た。分離したリンパ球を3回PBSを用いて洗浄しRPMI medium上で調整した。培養液あたり最終的に5ug/mlとなるように分裂刺激剤であるPHAを投与した。培養44時間後には分裂阻止剤であるCytochalasin Bを投与した。全培養は72時間にて終了した。終了後遠心分離リンパ球を求め、林らが考案した方法であるAcridine orangeを、生細胞としてのリンパ球に投与して、蛍光顕微鏡にて観察し検討した。観察は二核細胞500個当たりの小核細胞の出現数として算出した。結果、正常者ではすべて小核細胞の出現数は10未満であった。従来言われている報告と同様と考えられ、我々の方法で実際に小核試験が可能であることが確かめられた。次に上記の方法で、in vitro 照射における正常リンパ球の小核細胞の出現率について検討した。0-2Gyまで段階的にリンパ球に照射をin vitroで行いそれぞれの小核細胞の出現率を評価した。照射量と小核細胞の出現数には正の相関が見られ、我々が確立した小核試験にて照射後のリンパ球に対する照射の影響を評価可能であることが明らかとなった。今回の基礎的検討から我々の小核試験法を確立することができた。
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