研究概要 |
アルツハイマー病モデルの一つとされる前脳基底核(NBM)破壊モデルラットにおいて迷走神経下神経節の移植を行い,脳血流およびアセチルコリン(ACh)系に関してオートラジオグラフィによる評価を行った.^<99m>Tc-HMPAOによる脳血流,^3H-QNBによるmAChR分布,^<35>S標識オリゴヌクレオチドプローブを用いたm1,m2mAChR-mRNA分布および^3H-HC-3による膜トランスポータ分布を1,2,4週間にわたって経時的に比較検討し以下の知見を得た. 1.生体内脳血流分布ではNBM破壊モデル,移植モデルともに有意な変化は認められず,ACh系の画像診断に脳血流はほとんど影響しないことがわかった.2.QNB,m1およびm2mAChR-mRNAによるAChR関連の分布は,NBM破壊群の患側皮質においてm1mAChR-mRNAの増加傾向,m2mAChR-mRNAの減少傾向を示し,それぞれ神経除去性過敏および低下を反映し,また移植により改善傾向を示したことより移植によるAChレベルの改善が示唆されたが,患側/健側比はいずれも有意差を認めず,画像診断への応用は困難と考えられた.3.膜AChトランスポータのリガンドである^3H-HC-3による分布は,NBM破壊群で患側側の皮質において低下傾向を示したが,非特異的結合が高く良好な画像を得られないため,患側/健側比で有意差は認められなかった.またそのままではBBBを通過できないため,画像診断のための放射性薬剤の合成には特別の工夫が必要と考えられた. 現在,^3H-ベサミコールによるシナプス小胞トランスポータ分布について検討中である.
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