研究課題/領域番号 |
08671014
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
河村 泰孝 福井医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (30214703)
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研究分担者 |
木村 浩彦 福井医科大学, 医学部, 助手 (10242596)
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キーワード | MRI / Dynamic Study / Contrast Media / Liver Neoplasms / Liver Dysfunction |
研究概要 |
超常磁性酸化鉄粒子(SPIO)の肝臓への取り込みをMRI画像上で評価した。本薬剤は肝腫瘍性病変に対して一般臨床試験が実施されているが、肝機能障害の影響や肝血流・腫瘍血流の評価への応用は十分に検討されていない。本年度はダイナミックMRIを用いた血流情報の検討を試みた。SPIO:10mmol Fe/kgを静脈内投与したラット肝臓を潅流後摘出し、プルシアンブルー鉄染色にて病理組織像を検討したところ、正常肝網内系細胞内に鉄粒子の取り込みが証明された。MRI上、SPIO の強いT2短縮効果が正常肝臓の信号低下をきたし、網内系細胞を持たない腫瘍組織は相対的に高信号強度として検出された。ただし、この検査では血流の評価が全くできないため悪性腫瘍でも壊死組織や嚢胞などの非活動性の組織でも同様に高信号強度に抽出され、鑑別診断には役立たなかった。本学の1.5テスラMRI装置(GE:SIGNA)を用いて測定したSPIOのT1、T2短縮効果(R1値、R2値)はそれぞれ9.48mM^<-1>・sec^<-1>、229.5mM^<-1>・sec^<-1>であり、軽度のT1短縮効果と、選択的に強いT2短縮効果を有することが確認された。腫瘍検出に応用されているT2短縮効果とは別に、T1短縮効果に注目してダイナミックMRIの撮像パルス系列を各種検討し、T1強調マルチスライス グラディエント エコー法(FMPSPGR 法:GE社)で40〜60%、通常のT1強調グラディエント エコー法(SPGR法)で30〜40%、高速スピンエコー法で20%以下のラット正常肝臓の相対的信号強度変化を得た。 この基礎検討をもとに、肝腫瘍検出を目的としたSPIOによる一般臨床試験10症例に ダイナミックMRIを実施したところ、肝臓の相対的信号強度変化率は20%以下と低く、ラットの場合と異なり、画像上での血流評価は困難であったが、Time-Intensity Curveを作成することにより正常肝臓、肝腫瘍の血流の評価が可能であった。
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