研究概要 |
拍動流を流した頚部径の異なるlateral saccular (LS) typeとterminal saccular (TS) typeの脳動脈瘤モデルをMR tagging (MRT)で撮像し、瘤内の血流動態を可視化し、瘤の形が瘤内の流れに及ぼす影響を検討した。MRTでは瘤モデル内のtagの動きは頚部径の小さなものよりも大きなもので速く、LS typeよりもTS typeのもので速かった。 次に動脈瘤の形態が3D TOF MR angiography (MRA)の抽出能にどのように関与するかを検討し、能動脈瘤抽出のための最適な撮像法を探究した。3D TOF MRAでは頚部径の小さなものよりも大きなものの方が、LS typeよりもTS typeのものの方が動脈瘤モデル内の信号強度は強かった。 上記の2つの実験から頚部径が大きいほど、またLS typeよりTS typeの方が脳動脈瘤モデル内の流れは速く、3D TOF MRAでの信号が強かった。従って3D TOF MRAの動脈瘤抽出能は瘤内の流速に依存していると考えられた。 3D TOF MRAで抽出不良な脳動脈瘤モデルは瘤内の流れが遅いものであり、MRAで良好に抽出する解決策として造影3D MRAと長いTRを用いた非造影3D TOF MRAの可能性が示唆された。そこで臨床で応用可能な短時間で撮像できる造影3D MRAを脳動脈瘤モデルに施行し、非造影2D,3D TOF MRAと比較した。その結果、脳動脈瘤モデルの抽出は非造影2D,3D TOF MRAよりも造影3D MRAが優れていた。瘤内に流入、瘤内から流出する造影剤の動態が動脈瘤の形態により異なるため、超高速3D SPGRによる造影3D MRAの経時的な撮像で脳動脈瘤モデルが良好に抽出できた。この造影MRAは脳動脈瘤抽出に有望な方法であると思われた。
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