目的:閉塞性動脈硬化症におけるバルーン拡張術、メタリックステント、およびステントグラフトによる治療後に問題となる再狭窄の発生に対して、薬剤投与による予防効果を検討する。 方法:体重約2.5kg〜3.5kgの日本白色種ウサギならびに遺伝性高脂血症ウサギを実験に使用した。静脈麻酔下に頚動脈を切開し、胸部下降大動脈にシースとカテーテルを挿入、血管撮影を行って大動脈の血管径を測定した。直径0.2mm〜0.3mmのステンレスワイヤーで作成した、長さ1cm〜1.5cmのGianturco型のメタリックステント(Zステント)、および同ステントを0.1mm厚のpolytetr afluoroethylene(PTFE)膜でカバーしたステンドグラフト(膜張りステント)をシースから下降大動脈に挿入、留置した。ステントの直径は留置する大動脈径の約1.2倍とした。ステント留置の2日後に、一部のウサギに40.000〜80.000IU/kgの組織プラスミノーゲンアクチベータ(t-PA)を静脈内投与した。ステント留置から2週、4週、および8週後に血管撮影を行い、ステント留置部の血管狭窄の有無を観察した。また経時的に剖検し、動脈壁とステント表面の粥状硬化、血栓形成、内膜肥厚などの状態を肉眼的に観察すると共に、組織学的な検討を行った。 結果:Zステントの留置部には、ステントのワイヤーと血管壁の接触部全体に内膜肥厚と軽度の血管腔の狭小化が認められた。一方、ステントグラフトの留置では、ステントの両端部に内膜肥厚が認められ、グラフトの内面には血栓の付着が認められた。動脈壁の変化は高脂血症ウサギでより明らかであった。これらの変化は、t-PA投与群では軽度となる蛍光が認められ、薬剤の投与が再狭窄の予防に有効である可能性が示唆された。
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