研究概要 |
標識phorbol-dibutylate(PDBu)を指標としてラット甲状腺細胞FRTL5のprotein kinase C(PKC)活性を検討したところ、IFN-γは甲状腺刺激ホルモン(TSH)によるPKC活性の増加を抑制し、腫瘍壊死因子はこの抑制作用をさらに強めた。また非γ型IFNを用いても同様の抑制を認めた。 またPKCの阻害剤staurosporineをFRTL5細胞に作用させるとTSH非存在下ではヨード取り込みを促進し、これはIFN-γのヨード取り込み促進作用と相加的であった。さらにStaurosporineはTSHによるヨード取り込みの刺激には抑制的に働くのに対して、IFN-γは相加的に働く。PKCの他の阻害剤H-7,H-9によっても、一部の濃度で同様の相加作用を認めた。したがって両者は違う機序でPKC活性を阻害していることが明らかとなった。 なお、海外学会での発表時の質疑応答、国内他大学の専門家との意見交換などを通じ、甲状腺癌に対する放射性ヨード療法の効果がIFN使用により増強できれば臨床的に意義があり、そのためには本研究のような基礎的裏付けが必要なことが再確認できた。
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