研究概要 |
肺感染症が生じた患者の宿主免疫能を示すパラメータを測定し、同時に高分解能CTを撮像し検討することにより、宿主免疫能の程度に応じた起炎病原体の肺感染症の画像的特徴を確立することを目標として研究を開始した。 肺感染症が胸部X線写真等で疑われる患者に対して高分解能CTを撮像し、同日に、宿主免疫能を示すパラメータとして細胞性免疫はリンパ球数、リンパ球サブセット、CD2・4・8,NK活性,リンパ球幼若化反応を、体液性免疫としてlgG,lgM,lgA,C3,C4を測定した。起炎病原体同定は臨床的に同定ができていない場合でも抗生剤等にて治療を始める場合も多い。CT、免疫能検査、起炎菌同定のすべての情報が入手できた症例は現在まで8症例で、抗酸菌性肺炎が4例、クリプトコッカス症1例、他の一般細菌が3例(Mycoplasma,Branhammela,H.influenza)である。肉芽腫を形成する抗酸菌性肺炎、クリプトコッカス症5例の内、免疫能が低下していた者が3例で、多彩なCT像ではあったが、いずれも空洞形成をともなっていた。免疫能が正常な2例は小葉中心性の散布結節像の例と孤在性結節周囲の小葉中心性散布結節像の例であった。一般細菌では、市中感染のマイコプラズマ肺炎でconsolidationが多発した症例に細胞性免疫能の低下がみられた。 以上、症例数が少ないものの、肺感染症のCT画像所見に差異が生ずるのは、免疫能のレベルを反映していると考えられる。来年度はさらに症例を増やし、免疫能パラメータと感染症CT像の相関を検討したい。
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