研究課題/領域番号 |
08671040
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂本 一郎 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (00225806)
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研究分担者 |
林 邦昭 長崎大学, 医学部, 教授 (80039536)
小川 洋二 長崎大学, 医学部・附属病院, 助手 (50233432)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 血管内超音波 / 高安動脈炎 / 閉塞性動脈硬化症 |
研究概要 |
閉塞性動脈硬化症患者10例(男性9人、女住1人、平均年令:67歳)および高安動脈炎患者2例(女性2人、56歳および28歳)に対して血管内超音波を施行し、腸骨動脈壁および大動脈壁の観察を行った。今回の研究により、血管内超音波は臨床例において安全に施行することができ、腸骨動脈壁および大動脈壁ついて詳細な情報をもたらすことが明らかとなった。特に、これまでの画像診断(CT、MRI、血管造影)では観察することができなかった動脈壁の層構造、すなわ肥厚内膜、中膜、外膜の観察も十分に可能であり、石灰化やアテローマによる内膜肥厚、壁在血栓なども他の画像診断と比較してより明瞭に描出できることがわかった。また、動脈解離の描出能も血管造影より血管内超音波の方が優れていた。高安動脈炎には大動脈解離が合併することがあり、その場合、通常の大動脈解離と異なり発症時の症状を伴いにくい、限局型解離であるなどの特徴を有しており、その診断は血管造影や臨床症状のみでは困難な場合も多い。従って、高安動脈炎に合併した大動脈解離の診断についてもその診断および病変の範囲の把握に血管内超音波は有用である可能性が示唆される。高安動脈炎は2例のみしか施行できなかったが、2例とも通常の動脈硬化よりも著しいアテローマによる内膜肥厚や石灰化が描出され、さらに1例においては動脈壁の潰瘍性病変(atherosclerotic ulcer)が描出されたが、これらの病変は血管造影では、十分な観察は困難であった。今後、症例を積み重ねることにより大動脈病変のみならず、高安動脈炎に合併することの多い肺動脈病変の観察も行い、高安動脈炎の急性期から慢性期にいたるまでの動脈壁のより詳細な形態把握を試みる予定である。
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