研究概要 |
平成8年度は放射線損傷の修復に高浸透圧食塩水やヨード系造影剤がどのような影響をもたらすかを染色体分析を用いて調べてきた。平成9年度以降は放射線照射時、あるいは後に高浸透圧食塩水あるいは造影剤が存在すると、細胞の種々の遺伝子にどのような影響がもたらされるかを分析する。 染色体分析において指標とした染色体異常は2動原体染色体と環状染色体であった。照射後15分以内に高張食塩水や造影剤を添加、処理することにより放射線誘発染色体異常頻度が無添加の場合よりも高まったが、60分後での処理では殆ど高まらないことが判明した。この原因としてはDNAに生じた損傷は高浸透圧下では修復しにくいこと、60分後では修復しうる損傷はすでに修復しきっていることのためと考えられた。 今回はConfluentな状態のHela cellsを用い、10%FCSを含むα-MEM培地中にIopamidol(Iopamiron 300;620 mOsm/kg H20)またはloversol (Optiray 320;710mOsm/kg H20)を加え、37℃、10,20,30,40,50分間incubate後total cell lysateを調整し、抗SAPK/JNK抗体またはリン酸化特異的抗SAPK/JNK抗体を使用してWestern blottingを行った。xその結果、Control(600mM sorbitol;37C50分処理)ではSAPK/JNKのリン酸化SAPK/JNKが検出されたのに対し、2種類の造影剤とも上記の各条件下では有為なリン酸化は検出できなかった。
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