我々は従来より、各種シンチグラム検査の臨床的有効性を測るため、複数の施設が協力して、確定診断付きの画像データベースを作成し、次にこれを多数の医師が読影する実験を行い、ROC解析などを用いて統計解析し、所見検出能や質的診断能およびそれらの医師間変動を定量的、客観的に評価する研究を行ってきた。今年度は脳腫瘍の質的診断、特に悪性脳腫瘍の診断に有用と云われ、注目されているT1-201 SPECT像の有効性について検討を加え9人の医師による、その読影結果の変動を評価した。第1回はMRIを参照せず、第2回はMRIを参照して、T1-201の異常集積の存在診断と部位の同定および良性・悪性識別を行った。また、これよりMRI参照の有無における診断結果の医師間変動を比較した。T1-201-SPECTの異常所見の検出率は、MRIを参照しない時、医師全体で84%、参照時94%となり、医師間変動は、MRIを参照することで有意に減少した。良性と悪性の鑑別能を表す医師全体のROC曲線の第1動作点は、MRIを参照しない時TPR:53%、FPR28A%であり、MRI参照時TPR:74%、FPR:45%となった。 次年度はさらにこれらのデータについて、分析を加え、できれば他の核医学検査についても検討したい。
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