我々は従来より、各種シンチグラム検査の臨床的有効性を測定するため、複数の施設が協力して、確定診断付きの画像データベースを作成し、次にこれを多数の医師が読影する実験を行い、ROC解析などを用いて統計解析し、所見検出能や質的診断能およびそれらの医師間変動を定量的、客観的に評価する研究を行ってきた。これらの結果は、文部省科学研究費一般c研究成果報告書「SPECTによる脳疾患診断の精度評価に関する研究(課題番号06670933)にまとめて報告してある。 今回の研究では、脳腫瘍の質的診断、特に悪性脳腫瘍の診断に有用と云われ、注目されているT1-201-SPECT像の有効性について、54例の確定診断の得られた症例を対象にして検討を加え、9人の医師による、その読影の結果の変動を評価した。この場合、MRIを参照しない場合とする場合で検討すると、悪性の検出率は、前者で84%、後者で94%であった。良性と悪性の鑑別能を表す医師全体のROC曲線の第1動作点は、MRIを参照しない時TPR:53%、FPR:28%であり、MRI参照時TPR:74%、FPR45%で後者が優れていた。 なお、欠損を有するファントムにおけるプロフィルから求めた濃度値と標準偏差、信号対雑音比については、その意義について現在検討を加えている段階である。
|