1。放射線間質性肺炎致死に対する肝細胞増殖因子投与効果 BDF1マウス(7-8週令)の胸部に15、20、25および30Gy照射し、マウス生存率を調べた。15およびGy照射群は照射後180日まで全て生存した。30Gy照射単独群は100日までに40%のマウスが死亡したが、30Gy照射後肝細胞増殖因子(ヒト組み替え体)を2日間静注投与(50ng/kg)された群は全例生存した。この結果は、肺障害に起因するマウス致死が肝細胞増殖因子投与により抑制された可能性を示している。投与回数の増加による効果、組織像の変化について検討を加えている。 2。肺臓でのc-met遺伝子発現に対する放射線照射効果 胸部に15Gyを照射されたマウスの肺臓を摘出後、ノーザンハイブリダイゼーション法でc-met遺伝子発現を調べた。照射後48時間ではc-metの発現は照射前に比べ減少傾向にあった。更に例数を増やし、また48時間以内の変化を調べている。 3。マウス肺臓内肝細胞増殖因子量の測定 昨年度の経験から、摘出後の肺に生食水を注入し脱血する操作を止め、直接肺臓を秤量、ホモジナイズし肝細胞増殖因子量を測定した。この結果マウス固体毎のバラツキが改善された。肺照射(15Gy)後48時間目には、非照射群と比べ肺臓内肝細胞増殖因子濃度(1g当たり)が増加した。一方血液中の肝細胞増殖因子濃度には変化がみられなかった。照射後48時間以内の継時変化を測定中である。
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