研究概要 |
今回も新たに加わった日本人宇宙飛行士の骨塩のデータを解析し検討したので報告する。 飛行期間:9日間、測定方法:DXA、UBD 測定日:飛行前 30.60日(L-30,L-60)、飛行後3.11.30.90日(R-3,R-11,R-30,R-90)測定結果の解析法:飛行前二回(L-3とL-60)の平均をコントロール(100%)として、飛行後の変化を評価した。 結果:DXAの全身モードで測定した骨塩量は、飛行後のR-3,R-30で飛行前よりも1%程度の上昇を認めた。DXAの局所モードで測定した腰椎の骨塩量の変化は、R-3,R-11では飛行前と余り変化が無く、R-30では飛行前に比べ2%程度の上昇を認めた。DXAとUBDで測定した踵骨の骨塩量を比較検討した。UBDでは明らかに踵骨の骨塩は飛行前に比べ、飛行後に低下をみとめる。DXAでもUBD程ではないが、飛行前に比べ飛行後に踵骨の骨塩の低下を認める。DXAで求めた全身モードでの脂肪量と筋肉量との変化の評価も行った。脂肪量のの変化は飛行前に比べ、飛行直後で6%も低下し、飛行後急速に改善し飛行前より上昇を認めた。筋肉量は脂肪量の上昇ほど著明ではないが、徐々に上昇し改善傾向を示した。 DXAの全身モードで測定した骨塩量は、飛行後のR-3,R-30で飛行前よりも1%程度上昇したかのように見えるが、これはDXAの測定誤差1-2%とすれば、測定の誤差範囲内と考えられた。腰椎の骨塩量変化も飛行前途比べ、飛行後にわずかに上昇を認めたが、有意な変化ではないと考えられる。飛行中大腿骨近位部および踵骨の骨塩量は、飛行前に比べ飛行後に明らかな低下を認めた。踵骨における低下は、UBDでもうらずけられ有意な低下と考えられた。
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