回転デジタル血管撮影装置は、申請者らによって開発された全く新しい画像診断システムである。 本装置を用いた血管撮影像は、360度すべての方向からの撮影をリアルタイムに連続動画像表示できることから、病変の立体的、三次元的理解が容易となる。 また、サブトラクション処理も容易なことから、濃度分解能も優れており、極めてわずかな造影剤漏出も認識可能となる。 従って、骨盤骨折による出血の診断能が向上するため、システム自体の良好な操作性と相俟って、迅速な動脈塞栓術を施行できる可能性が高い。 本年度は、日本医科大学付属病院に搬入された重症骨盤骨折患者を対象とした。 初期治療終了後、そのまま患者を血管撮影室に移送。 まず通常のデジタルサブトラクション血管撮影を施行し、骨盤骨折の骨折部位および後腹膜出血の位置と量の評価を行った。 次に、回転デジタル血管撮影装置を用いて骨盤部血管撮影を行い、同様の検討により、各々のシステムにおける骨折、出血の位置と量を比較検討したところ、回転デジタル血管撮影の有用性が示唆された。
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