研究概要 |
温熱療法における基礎データの把握を研究目的とした。その目的のために電界および磁界センサーを制作し、水ファントムの電界および磁界強度を測定した。リード線と電磁波との干渉が問題となるが、この研究では、こを避けるために高抵抗リード線を組み合せたセンサーを製作した。日本国内で深在性腫瘍の温熱治療に一般的に用いられている温熱加温装置サーモトロンRF8の特性を調べた。電界強度分布の測定は長さ8cmのダイポールアンテナ、磁界強度分布の測定には直径15mmのループアンテナを作成して行なった。このセンサー位置をファントム水中で一定間隔で走査して出力電圧を測定した。電界強度分布の測定結果ついては、電極中心軸方向では強度は殆ど変化せず一定であった。また電極中心軸から離れるにつれ強度は減少し6cmの距離で92.1%,9cmの位置で86.3%であった。磁界強度分布の測定結果から、磁界強度は電界強度と同様に電極軸方向では電極間の申心が最も低く,最大値の約69.2%の値であった。電極軸と垂直の方向では中心軸からの距離が増加するとともに減少し,6cm位置で76.1%、10cmで51.1%であった.また電極軸と垂直の方向では中心からの距離による減衰の度合いは電界強度より磁界強度の方が大きいことがわかった.特に注目すべき結果として対の電極周りの分布の様子が非対称であるという結果を得た。この要因として電極の片方が接地されているために周辺のベット枠等に対して漏洩電流が流れる為と思われる。この結果は臨床の術者の間ににはこの様な認識はなく重要な知見である。また、センサーの絶対感度を求め、相対強度からSAR分布を求めた。
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