研究課題/領域番号 |
08671064
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
三森 文行 国立環境研究所, 環境健康部, 室長 (90125229)
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研究分担者 |
板井 悠二 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30010268)
山根 一祐 国立環境研究所, 環境健康部, 研究員 (40182589)
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キーワード | MRイメージング / LECラット / 肝細胞癌 / 肝紫斑症 / Gd(DTPA) |
研究概要 |
肝細胞癌の発症率の高いと言われるLong-Evans Cinnamon (LEC)ラットの同一個体を、MRイメージング法を用いて繰り返し観察することにより、肝細胞癌を含む肝疾患の進展過程を追跡することを目的とする。本年度は、2年間にわたって長期的に繰り返し観察を行うために、LECラット17匹を長期実験群として設定した。本実験群については60週齢より15週ごとに、肝のMRイメージングを用いた診断を開始する。さらに、上記とは別に57週齢から104週齢の高齢LECラット11匹を確保し、肝のMRイメージ測定と病理診断を組み合わせた、肝疾患の鑑別診断確立のための研究を行った。イメージ測定としてTR/TE=306/13msでT_1強調画像、2112/15-120msでT_2強調画像を測定した。また、この内8例についてはGd(DTPA)を用いたダイナミックスタディを実施した。動物はイメージ測定後屠殺し、イメージ上で所見のあった部位の切片を作製し、hematoxylin/eosin染色後病理診断を実施した。この結果、MRイメージ上で胆管線維症6例、肝紫斑症8例、高分化型肝細胞癌及び過形成結節3例、嚢胞3例、脂肪変成2例を識別することができた。さらに、各強調画像におけるコントラスト、特に、ダイナミックスタディにおける信号増強の経時変化から、肝細胞癌及び過形成結節をその他の疾患と鑑別できることがわかった。この結果は、次年度以降に行う同一個体を用いた長期繰り返し観察において肝細胞癌を同定するためにきわめて有用である。また、高齢LECラット肝において、肝細胞癌のみならず肝紫斑症が頻発することを初めて示し、そのMRイメージにおけるキャラクタリゼーションを確立した。
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