1.対象と方法:1996年4月から1997年3月までの1年間に、北海道大学医学部附属病院精神科神経科を受診し、非言語的治療の「相互法」を行った児童・青年期の4症例は以下の通りである。(1) Anorexia Nervosa : 11歳、助成、小5(スクィグル法)、(2) Bulimia Nercosa : 14歳、女性、中3(相互コラージュ法)、(3)強迫神経症、15歳、男性、中3(スクィグル法)、(4) Tourette′s Disorder : 9歳、男性、小3(相互遊戯療法)。 2.治療経過:4症例の現在までの経過を述べる。(1)学級委員を任されたことを契機に食欲が低下し、摂食不能となった。自己の感情や欲求を言語化することは難しく、スクィグル法を行った。自己を非言語的に表現し、それが治療者と同調するという体験が患者に安心感を与えた。(2)ダイエットにより体重減少をきたしたが、6カ月後より激しい過食の衝動に襲われるようになった。具体的なもののイメージがわかないということで、抽象的なコラージュを選択した。無秩序な内容が次第にまとまりをもち、収斂していく過程がみてとれた。(3)受験勉強を始めた頃から、不潔恐怖が出現した。薬物療法では軽度改善にとどまねため、スクィグル法を行った、機械的、羅列的、整合的な絵画が次第に躍動的、柔軟な内容に変化していった。(4)小学1年時より、身体を奇妙に動かす運動性チックと音声チックが出現。次第に激しくなり、薬物療法でもコントロール困難なため、相互遊戯療法を行った。治療者に対し攻撃的な内容の遊びが少しずつ相互交流的で社会性をもつ内容に変化していった。 3.治療的意義:各症例により治療的意義は様々であるが、次のような意義が考えられた。(1)他者との同調、一体感の経験、(2)自己の感情に対する客観化の促進、(3)感情の解放、発散、(4)感情のコントロール。
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