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1996 年度 実績報告書

非侵襲的アプローチによるてんかん性突発波の神経生理学的特性の解析-3層モデル双極子追跡法(SSB-DT)による分析を中心に-

研究課題

研究課題/領域番号 08671074
研究種目

基盤研究(C)

研究機関千葉大学

研究代表者

古関 啓二郎  千葉大学, 医学部, 講師 (90170258)

研究分担者 中嶋 祥夫  千葉大学, 医学部, 教授 (60092079)
村上 敦浩  千葉大学, 医学部, 助手 (60272332)
岩佐 博人  千葉大学, 医学部, 講師 (60203361)
キーワード双極子追跡法 / てんかん / 前頭葉てんかん / てんかん性棘波
研究概要

前頭葉てんかんは臨床診断が困難であることが多いばかりでなく、治療抵抗性を示すことも少なくないが、その病態生理については未だ不明の点が多く残されている。本年度の研究では、てんかんの難治化のメカニズムの解明の一助として、双極子追跡法(Dipole Tracing,DT)により前頭葉てんかんにおける棘波の脳内電源の分析を行い、その神経生理学的特性について検討を試みた。
対象は、臨床発作症状および頭皮脳波所見から前頭葉てんかんと診断された症例である。DT分析は、各症例の頭皮・頭蓋骨・脳実質の3層頭部モデルをコンピュータで作成し、頭部組織の導電率の差を計算にとりいれたSSB-DTを用いてECDの推定を行った。
これらの研究から、前頭葉てんかん例における棘波のECDは、大部分の症例において頭皮脳波上において認められた突発波の優位側と同側の、限局した領域に集中して推定された。これらのECDが推定された部位はMRI像との対応から前頭葉背外側、眼窩領域、補足運動野等に相当する領域であった。また、いくつかの症例における棘波の分析結果では、棘波の優位側と同側または両側半球にまたがる複数の異なる領域にECDが推定される場合が認められた。一方、側頭葉てんかん例の棘波のDT分析の結果では、ECDはいずれの場合も限局した一領域(棘波の優位側と同側の海馬・扁桃核領域や大脳皮質など)に集中して推定された。
以前のわれわれの予備的研究から、DT法によってECDが推定された部位は脳内の強大な神経活動が発生している部位にほぼ対応している可能性が示唆されている。したがって今回の分析結果は、前頭葉てんかんにおける棘波発現には脳内の広範な領域の神経活動が関連していることを示唆するものと考えられる。これらのデータは、前頭葉てんかにおける複雑な神経生理学的基盤の存在を意味するものであり、病態解明において大きな意義を有する結果といえる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Hiroto Iwasa,et all: "Estimation of electrical sources of interictal spikes in frontal lobe epilepsy with the dipole tracing of scalp-skull-brain head model : comparizon with temporal lobe epilepsy" Epilepsia. 37. 78-79 (1996)

  • [文献書誌] 古関啓二郎他: "双極子追跡法による前頭葉てんかんの脳内電源推定" てんかん研究. 15. 7-16 (1997)

  • [文献書誌] 古関啓二郎他: "脳内電位発生源の特定-脳波双極子追跡" 本間三郎編、日本評論社(印刷中), (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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