研究課題/領域番号 |
08671074
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中島 祥夫 千葉大学, 医学部, 教授 (60092079)
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研究分担者 |
保田 貴美子 千葉大学, 医学部・付属病院, 医員
村上 敦浩 千葉大学, 医学部, 助手 (60272332)
岩佐 博人 千葉大学, 医学部, 講師 (60203361)
古関 啓二郎 千葉大学, 医学部, 講師 (90170258)
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キーワード | 双極子追跡法 / 電源位置推定 / 前頭葉てんかん / 光過敏性てんかん / 発作間欠期 / 棘徐波複合 / mnltiple focl / 神経系の未熟 |
研究概要 |
本研究の目的は、非侵襲的脳機能検査法である双極子追跡法(Dipole tracing,DT法)をてんかん性突発波の脳内電源の位置推定に応用し、てんかんの神経生理学的側面の解明におけるDT法の有用性と問題点について詳細かつ多面的な検討を加え、本法によるてんかん原生焦点推定の方法論的確立および、てんかんの様々な生理学的側面の解析への応用を試みることにある。 本研究で採用した双極子追跡法の概略は、患者の頭皮形状を測定装置により計測し、自発脳波を21チャンネル同時記録する。患者CT像を5mmスライスで撮像し、スキャナーにて頭蓋骨外側、頭蓋骨内側の形状を読み込み、頭皮・頭蓋骨・脳実質から成る実形状3層頭部モデルをコンピューターにより構築する。各層間の導電率を1:1/80:1とする。モデル内に電流双極子を1個あるいは2個仮定し、これらの電流双極子によるモデル頭皮上の電位を数学的に求める。 電源推定をしたい時点での患者の脳波の電位分布と数学的に算出されたモデル頭皮上の電位分布の2乗誤差を算出し、それが最小になるまで、モデル内に置いた電流双極子の位置とベクトルを変える。誤差が最小になり、Dipolarity(双極子性)が98%以上のとき、仮定した双極子の位置とベクトルをもって電源とした。 その結果、1.前頭葉てんかん5症例における発作間欠期の突発並みでは前頭葉の複数領域に電源が推定され、Largeepileptogenic zoneの病態を促え、2.前頭葉てんかん4例における発作間欠期の焦点性棘余波複合では棘波に対応する興奮性の電源が前頭内の限局した領域に発生し、余波成分に対応する抑制性の電源が脳内の2箇所あるいは広範な領域に発生することを捉え、3.小児の光誘発性突発波について、その焦点を光過敏性てんかんを有する群と有さない群で比較検討し、光過敏性てんかんの発現機構に外側漆状態と神経系の未成熟さが関与することを神経生理学的に明らかにした。特に3においては現在話題のテレビ・アニメ(ポケット・モンスター)で小児が呈した症状に対し、参考になる知見が得られたと確信する。また、いずれの成果も今後のてんかんの研究、治療予防等に役立つものと期待される。
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