研究課題/領域番号 |
08671075
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐野 威和雄 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (00251281)
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研究分担者 |
百瀬 敏光 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (20219992)
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キーワード | ナルコレプシ- / ムスカリン性アセチルコリン受容体 / 11C-N-メチルピペリジルベンジレート / PET / レム睡眠 |
研究概要 |
11例の未治療ナルコレプシ-患者を対象に、脳内ムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)の測定を行なった。被験者は全例男性で、平均年齢は42.7歳であった。対照群としては男性健常被験者16例(平均年齢28.9歳)を用いた。 mAChR測定は11C-N-メチルピペリジルベンジレートをトレーサーとして、陽電子断層撮影法にて行なった。関心領域を前頭皮質、基底核、視床、橋に設定し、グラフ解析法を用いてそれぞれの関心領域における速度定数k3を算出した。mAChRは加齢に伴い減少することが報告されているため、算出したk3値は直線回帰による年齢補正を加えた後、患者群と健常者群との比較を行なった。また、患者群の一部に対しては、治療による症状軽快後、再度検査を行ない、治療薬によるmAChRの占有率も併せて評価した。 【結果】関心領域におけるmAChRのは、両群間で有意な差を認めなかった。また、治療薬(クロミプラミン)によるmAChR占有率も10%以下と低値であった。mAChRはレム睡眠の発現に中心的な役割を果たしていることが知られており、ナルコレプシ-の主症状であるレム睡眠障害への関与も仮説として提唱されていきたが、今回の我々の研究からは、これを支持する所見は得られなかった。治療薬であるクロミプラミンの効果もmAChR系を介して寄与は少ないものと考えられ、治療効果の発現にはノルアドレナリン系、セロトニン系を介した機序が示唆された。
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