1)多発家系の系統的調査:5名(全員男性)の睡眠時無呼吸患者の存在する1家系を得た。これに対し、ポリソムノグラフィ、炭酸ガス換気応答、上気道MRI等の検査を行なった。これにより、これらの症例では中枢性換気ドライブが障害されており、いずれも本疾患が10才代後半〜20才代前半と若年期に発症していたこと、無呼吸頻度が一般患者に比べてかなり高いことが明らかになった。また、重症例程肥満度が高かった。 2)14例の睡眠時無呼吸患者に対し、医学的第1親等での本疾患の有病率を調査した。その結果、possible sleep apneaは9.1%であり、一般人口(1.4%)の5倍以上であった。また、孤発例に比べて、家系内多発例では発症年齢が低かった。また肥満度は、本疾患の罹病とは直接の関係は無いものの、重症化と関連していると判断された。セファロメトリー解析により、家系内多発例では、PASが小さく、MPHとSNB角に異常が存在するものが多いことが明らかになった。 以上より、家系内発症の睡眠時無呼吸では、解剖学的異常と中枢換気ドライブの障害が重積している可能性が示唆された。
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