1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)の多発家系を見出だした。本家系では、4世代に6名のSAS患者が存在し、このうち1名はすでに死亡していた。生存している5名の睡眠時上気道MRIにおいて、後口蓋部閉塞が確認された。重症者(2名)においてのみ高度肥満が存在したが、他では肥満者はなかった。また、呼吸化学受容体感受性も全員正常であった。従って顔面頸部骨格ないし軟部組織形態の類似性が本症家系内集積の原因と推定された。 2.1)当施設受診中のSAS症例141例(発端症例)の医学的第一親等者889名におけるSASの有病率を調べ、一般人口対照者922名との比較を行った。これにより、発端症例の第一親等者でのSAS有病率は9.1%と一般人口の1.7%に比べて4倍以上高いことが確認された。しかし第一親等者SASでは、発端症例に比べてポリソムノグラフィ上の無呼吸頻度が少なく臨床症状(日中の眠気)も軽度であった。 2)家系内多発例は、孤発例に比べて低年齢発症していたことから、遺伝的継承による表現促進の可能性が示唆された。 3)家系内多発症例特に第一親等者のSASでは、肥満度は正常範囲であった。家系内多発例では、睡眠時上気道MRIにおいて、施行された全例で後口蓋部閉塞が認められた。また家系内多発例では、セファグラムにおいていくつかの指標について対照群との差が認められた。これらは1で得られた所見を支持するものであり、家系内で遺伝的に共通した顔面頸部骨格ないし上気道軟部組織の形態異常が多発し類似した上気道狭窄を生じることが、本症家系内多発の主因であると判断された。
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