研究概要 |
5-HTによる皮質ACh分泌の制限機構を解明する一環として、平成9年度はACh分泌における5-HT_<2A>受容体の関与を解明していくと共に、ACh分泌における5-HT_3受容体と5-HT_3受容体の相互関係についても明らかにしていくことを目的とした。 あらかじめ雄性ラット前頭葉に透析プローブを留置し、二日後に無麻酔・自由行動下で100nMのneostigumineを含む人工脳脊髄液を還流させ、その中に含まれるAChをHPLC-ECDによって測定した。 皮下投与した5-HT_3受容体antagonistのICS-205,930はACh分泌に有意な影響をもたらさなかった。透析プローブを介して前頭葉に60分間投与したICS-205,930はACh基礎分泌値に有意な影響を及ぼさなかった。 前頭葉に投与した5-HT_3受容体agonistの2-Methyl-5-HTもACh基礎分泌値には影響を与えなかった。腹空内に投与した5-HT_<2A>受容体antagonistのketanserinはACh分泌に影響を与えなかった。ketanserin投与60分後に前頭葉にICS-205,930あるいは2-Methyl-5HTを投与したが、いずれもketanserin投与群と比較して有意差は認められなかった。 腹腔内および前頭葉に投与した5-HT受容体agonistのDOIはACh分泌を著しく増加させた。DOI投与60分後にICS-205,930あるいは2-Methyl-5HTを投与したが、いずれもketanserin投与群と比較して有意差は認められなかった。 以上の結果から、『5-HT_3受容体は単独でも、また5-HT_<2A>受容体の影響を考慮にいれても、皮質ACh分泌には重要な役割は演じていない』可能性が示唆された。
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