研究分担者 |
安部 公朗 山口大学, 医学部・附属病院, 医員
松田 芳人 山口大学, 医学部・附属病院, 医員
山田 通夫 山口大学, 医学部, 教授 (00034942)
平田 牧三 山口大学, 保健管理センター, 教授 (10156672)
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研究概要 |
5-HTによる皮質ACh分泌の制御機構を解明する目的で、脳微小透析報により経時的に前頭葉ACh分泌を測定した。《実験1》5-HT_<1A>受容体agonistのdl-8-OH-DPAT80.1mg/kg,s.c.)は、ACh分泌量には有意な影響を及ぼさなかった。背側縫線核に投与した選択系5-HT再取り込み阻害約のfluocetine(1μM,60min)は、ACh分泌量を有意に低下させた。一方、前頭葉に投与した100nMのd-8-OH-DPAT(10μM,60min)はACh基礎分泌値に有意な影響を及ぼさなかったが、10μMでは軽度ではあるが有意にACh分泌を増加した。さらに、5-HT分泌促進薬のfenfluramine(10mg/kg,i.p.)投与40分後にd-8-OH-DPAT(60min)を前頭葉に投与したところ、ACh分泌量はより一段と増加した。5-HT_<1A>受容体agonistの5-MeO-DMT(2.5mg/kg,i.p.)は、短時間ではあるが著しくACh分泌量を増加させ。以上の結果から、5-HTは前頭葉に存在するシナプス後5-HT_<1A>受容体を介してACh分泌を促進するが、その作用は5-HT_<2A>受容体が活性化された状態でより顕著になることが示唆された《実験2》皮下(0.02&0.6mg/kg)および透析プローブを介して前頭葉に投与した(0.1&10μM)5-HT_3受容体antagonistのICS-205,930は、共に前頭葉ACh分泌には有意な影響をもたらさなかった。前頭葉に投与した5-HT_3受容体agonistの2-Methyl-5HT(10&100μM)も、ACh基礎分布津値には影響しなかった。5-HT_<2A>受容体antagonistのketanserin(5mg/kg,i.p.)はACh分泌に有意な影響をもたらさなかった。Ketanserin(5mg/kg)投与60分後にICS-205,930(1μM)あるいは2-Methyl-5HT(10μM)を60分間前頭葉に投与したがketanserin単独投与群と比較して有意差は認められなかた。5-HT_2受容体agonistのDOI(2.5mg/kg,i.p.)は前頭葉ACh分泌を著しく増加させた。DOI投与60分後にICS-205,930あるいは2-Methyl-5HTを前頭葉に投与したが、DOI単独投与群と比較して有意差は認められなかった。以上の結果から、5-HT_2(おそらくは5-HT_<2A>)受容体を介する皮質ACh分泌の増加には5-HT_<1A>受容体の活性化は必要ではないこと、5-HT_3受容体は皮質ACh分泌に重要な役割を担っていないことが示唆された。
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