研究課題/領域番号 |
08671099
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
川上 富美郎 京都府立医科大学, 医学部, 講師 (60186062)
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研究分担者 |
岡村 均 神戸大学, 医学部, 教授 (60158813)
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キーワード | Aging / in situ hybridization / Suprachiasmatic nucleus / Vasoactive intestinal peptide / Rat |
研究概要 |
痴呆患者の昼夜逆転や夜間せん妄は生体リズムの異常に基づくと考えられ、高齢者では体温リズムなどに様々な程度の異常が報告されていることから、老化そのものが生体リズムの形成に何らかの影響を与えていると推測される。哺乳動物の概日リズムの中枢である視交叉上核(suprachiasmatic nucleus ; SCN)の腹外側部には同調機構に重要な役割りを果たしているvasoactive intestinal peptide (VIP)を含有するニューロンが分布しているが、老化による日内リズム形成の異常はこのVIPニューロンに何らかの変化が生じている可能性が推測される。このことを明らかにする目的でVIPmRNAの変動をin situ hybridizationと画像解析装置を用いて検索した。 実験動物は約2年間飼育したWistar系雄性ラット(老齢ラット)と対照群として生後3ヶ月の若年ラットを用いた。VIPの動態を検索するため、イメージングプレートによるマクロオートラジオグラフィーを行いSCNにおけるVIPmRNAのradioactivityを画像解析し変動を定量化し、その後写真乳剤によるミクロオートラジオグラフィーを行い、写真上の視察的変化を検索した。明暗条件下で明期の始まりをZeitgeber time 0 (ZT0)とし暗期の始まりをZT12とする明期12時間、暗期12時間ごとの飼育条件に馴化させた後、老齢ラットの明期(ZT4)と暗期(ZT16)のVIPmRNAの変動を若年ラットと比較検討し、光刺激によるVIPニューロンの反応に対する加齢の影響を検索した。その結果、若年ラット群では、これまでの報告と同様、暗期に比べて明期では有意に減少していることが認められた。しかし老齢ラット群では明期と暗期の間に有意な差は認められなかった。この結果から、老化によって明暗情報に同調しているSCNのVIP日内リズムの形成が確立できなくなることが示唆され、加齢による種々の生体リズム異常を引き起こす要因となっている可能性が推測される。
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