研究課題/領域番号 |
08671106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
中島 節夫 北里大学, 医学部, 助教授 (20050461)
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研究分担者 |
菅原 道哉 東邦大学, 医学部, 教授 (30226427)
鈴木 牧彦 北里大学, 医学部, 講師 (90226548)
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キーワード | 精神分裂病 / 運動技能 / 注意 / 文部省スポーツテスト / デイケア |
研究概要 |
昨年度は、デイケア入所時の精神分裂病患者の体力の実態を把握するための基礎データの収集と集計を主眼に置いた検討を行ったが、その結果、デイケア通所者者の体力は全種目で向上が見られることが判明した。本年度はこの体力向上が、退所時の患者の転帰と関係した現象であるかを検討するため、デイケア退所時の転帰別に患者の体力変化を比較した。すなわち、デイケア退所時において主治医や本人と相談の上で就労や作業所等の活動が決定したり、デイケアでの目標が達成したと判断された患者群を「修了群」、入院や症状の悪化等から通所困難となった患者を「中断群」とし、この転帰が確実に判定される患者、それぞれ110名と42名(計152名、男性47,女性29名、平均年齢25.1±7.0歳)を抽出し、デイケア入所時と退所時直近に実施した文部省スポーツテスト(2回の測定の平均間隔298.3±483.5日、中央値154日)の成績を群×時期の2要因分散分析により解析した。その結果、反復横跳び、垂直跳び、握力、背筋力、立位体前屈、伏臥上体反らし、上体起こしの6種目すべてにおいて、患者の体力標準得点は入所時と退所時で有意に向上していたが、群の主効果、群×時期の交互作用は有意ではなかった。ここから、デイケアプログラムへの参加そのものが、患者の転帰に関らず、その体力向上に強く関与していることが示唆された(ただし、退所時の体力標準得点が健常者一般レベルと同程度にまで上昇した種目は上体起こしの0.06±1.13点のみで、他の種目の平均標準得点は垂直飛びの-0.52点から握力の-1.26点まで低レベルであった)。こうした体力向上の経過を予測する因子は何であるのか、また、体力改善は患者の認知・注意機能の変化とどう関係しているのかなど、現在収集しつつある他の検査・調査データとの突き合わせ、データ解析は次年度以降の検討課題と考えている。
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