研究課題/領域番号 |
08671106
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
中島 節夫 北里大学, 医療衛生学部, 助教授 (20050461)
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研究分担者 |
菅原 道哉 東邦大学, 医学部・精神神経科, 教授 (30226427)
鈴木 牧彦 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (90226548)
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キーワード | 精神分裂病 / 運動技能 / 注意 / 文部省壮年体力テスト / デイケア |
研究概要 |
本研究課題では、デイケアに通所する精神分裂病患者の運動機能の向上を明らかにしてきた。本年度は、こうした現象の再現性を検討するため、共同研究者の所属する他施設におけるデータも含め検討した。すなわち、ICD-10により精神分裂病と診断されたデイケア通所者79名(男性53名,女性26名;平均年齢29.0±8.8歳)を対象に、文部省の壮年体力テスト5種目を、デイケア入所時と12カ月経過時に実施した。通所者はすべて、陽性症状に対してはすでに薬物療法が行われ、精神分裂病急性期の消退時期に生ずる抑うつ、ないし疲弊状態は改善し、いわゆる障害期にあった。入所時および12カ月時の各テスト種目における実測値は、一般健常者の性別、年齢別標準値をもとにZ-scoreに変換し検討することとした。その結果、各テスト種目の入所時と12カ月時の評価値は、side step:-1.77±1.7→-0.81±1.7、vertical jump:-1.34±1.3-0.99±1.4、grip strength:-1.85±1.4 -1.25±1.5、zigzag dribble[N=35]:-4.24±3.1 -2.29±2.7、acute walk[N=48]:-1.96±1.7 -1.60±2.1と、精神分裂病障害者の体力はデイケア入所後12カ月においてもなお、健常者に比較して顕著な低下を示している半面、入所時と12カ月後の比較では急歩を除く4種目の標準得点に有意な上昇が認められた(いずれも、p<0.001)。また、さらなる知見として、種目間で遂行水準の向上に相対的な差があるかを検討するため、入所時と12カ月後の標準得点の差を比較したところ有意な種目の主効果が認められ(p<0.001))、多重比較の結果、ジグザグドリブルの成績向上が、垂直とび、握力、急歩のそれに比べ有意に高く(いずれも、p<0.01)、有意ではないものの反復横飛びの成績向上はその中間にあった。現在はこれらの知見を認知論的に検討するため、トレールメーキングテスト、ペグボーテスト等の注意機能検査の結果との関係を探索しているが、成果の発表は後日となる見込みである。
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