研究課題/領域番号 |
08671107
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
浅井 昌弘 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (80051374)
|
研究分担者 |
古茶 大樹 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (50205423)
濱田 秀伯 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70101897)
|
キーワード | 遅発緊張病 / 遅発分裂病 / 機能精神病 / 老年期精神病 / 残遺状態 / 経過観察 / 欠陥状態 / 精神分裂病 |
研究概要 |
慶應義塾大学病院および関連施設での調査を行った。今年度は遅発緊張病に該当する症例を集積した。平成2年から平成7年までの6年間に研究者が直接診察した入院症例の中から以下の基準で症例を選択した。症例選択の基準は、(1)40歳代後半以降に初発し、(2)緊張病の特徴を全て、あるいは部分的に満たしており、(3)明らかな脳器質病変や重大な身体基礎疾患を背景とせず、(4)典型的な躁うつ病、心因反応、遅発パラフレニ-を除外したものである。 こうして集められた症例は18例で、その内訳は女性16例、男性2例である。発症年齢は47歳から73歳まで、50歳代(6例)から60歳代(9例)がその中心となっている。発症後、最短で1年4カ月、最長で7年が経過している。遺伝負因については、精神科を受診している場合にのみ限定したが、8例に明らかな精神病の負因が認められている。発病の契機として、なんらかの心理・環境・身体的誘因の関与が14例で疑われている。病像の推移については、前哨症候群、初期病像、極期の病像、残遺状態に分けて主たる病像を具体的に記載し、精神病理学的考察を加えた。経過類型は、間欠期で区切られる病相を繰り返す多相性と症状の動揺はあっても持続的に経過する単相性とに分けることができるが、11例が単相性、7例が多相性の経過をたどった。最終観察時の状態像から転帰の評価を行い、Huberの欠陥概念に基つき、完全寛解、非特徴的残遺、特徴的残遺の3段階で評価した。これによれば完全寛解4例、非特徴的残遺4例(すべて純粋欠陥)、特徴的残遺10例(混合欠陥4例、分裂病性欠陥精神病6例)であり、多相性経過をとるものの方が寛解率が高い傾向にある(7例中3例)。 これらの作業と平行して遅発緊張病に関する文献検索も行った。
|