研究分担者 |
馬場 元 順天堂大学, 医学部, 助手
大沼 徹 順天堂大学, 医学部, 助手 (10286734)
西山 悦子 順天堂大学, 医学部, 助手 (70286748)
岩本 典彦 順天堂大学, 医学部, 講師 (60211067)
新井 平伊 順天堂大学, 医学部, 教授 (50167988)
|
研究概要 |
アンチセンス・カルビンディン(CB)遺伝子導入トランスジェニック(Tg)マウスの行動学的および電気生理学的な研究を英国グループと共同で行った。若齢(3ヶ月齢)および老齢(24ヶ月齢)のTgマウス(homozygote/heterozygote)と正常対照マウスについて海馬依存性に空間学習や空間作業記憶を反映するモーリス式水迷路テストおよび8方向放射状迷路テストを施行した。若齢Tgマウスにおいても,正常対照マウスに比べ,テストの最初と最終段階では有意な差はないが,テスト中間段階で機能獲得までの遅延が有意に認められ,認知機能障害を生じていた。老齢Tgマウスでは,最終段階に至ると徐々に正常対照マウスとの有意な差が大きくなり,障害が持続した。さらに,若齢(3ヶ月齢)のTgマウスの海馬CA1領域組織スライスを用いて,高頻度刺激後のfEPSPを測定した。Tgマウスのhomozygoteでは,短期増強のパターンとなり,長期増強の維持に障害が示唆された。本結果より,CBはprotein kinase Cやcalmodulin kinase IIのようなCa^<2+> activated kinasesなどとともに長期記憶の維持に重要な役割を担っていることが示唆された。本Tgマウスは,老化の機序やアルツハイマー型痴呆などにおける認知機能障害の機序を解明するうえで,有用な動物モデルになり得ると考えられた。
|