研究概要 |
1.自閉症症候群を構成する諸症状が長期経過の中でどのように変容していくか知る目的で、われわれは以前行った追跡調査と同一の対象(187例)に対して成人期における彼らの行動特徴について調査した。その結果、言語認知発達の改善如何に関わらず、最も変化しがたい症状の共通特徴として強迫性を認めた(Psychiatry and Clinical Neurosciences,in print)。 2.われわれはこれまで自閉症の発達精神病理学的研究の蓄積に基づき、自閉症を関係性の障害の視点に立って、コミュニケーション発達の様相を検討してきた。具体的な臨床研究の実践の場である東海大学健康科学部に開設されたMother-Infant Unitにおける臨床活動内容について紹介し(乳幼児医学・心理学研究、印刷中)、本年は特に情動的コミュニケーションの成立過程における母親の内的表象の果たす役割について乳幼児期早期の自閉症圏障害の2例を提示して検討した(乳幼児医学・心理学研究、印刷中)。 3.摂食障害を既往に持つ女性が母親となって育児に従事する際に、摂食障害の精神病理が育児の中にどのように反映しているかを検討する中で、摂食障害の世代間伝達の現象を明らかにした(児童青年精神医学とその近接領域、印刷中)。
|