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1997 年度 実績報告書

遷延性アルコール離脱症候群の画期的治療法

研究課題

研究課題/領域番号 08671115
研究種目

基盤研究(C)

研究機関久留米大学

研究代表者

恵紙 英昭  久留米大学, 医学部, 助手 (40248406)

キーワード遷延性離脱せん妄 / アルコール / GABA / GABA_A受容体 / BZ受容体 / Clチャンネル複合体
研究概要

アルコールの醸造過程で麹菌や乳酸菌が抑制性神経伝達物質のγ-アミノ酪酸(GABA)を産生し、アルコール飲料とくに清酒、ワインやビールにGABAが多く含まれている。アルコールは経口摂取されたGABAの血液脳関門の透過性を変化させる。我々はストレス解消のためそれらのアルコール飲料を嗜好している。日本では現在もその消費量が増加の一途を辿り、アルコール依存症が後を絶たない。通常その薬物治療としてアルコールとの交差耐性を持つベンゾジアゼピン(BZ)系薬物の置換療法を行なうが、治療抵抗性で遷延する離脱せん妄を認め、アルコールによる二次性痴呆などの重症な後遺症を残す。我々の統計ではアルコール依存症と診断された150症例中81症例(54%)が離脱せん妄を呈し、そのなかでも2週間以上から数ヵ月にわたって遷延性する離脱せん妄を呈したものが11症例(離脱せん妄の13.6%、アルコール依存症者の約7%に認められた。また肝性脳症を除くアルコールによる二次性痴呆(Wernicke-Korsakoff脳症、ペラグラ脳症)の発症が4症例(アルコール依存症の約3%)に認めた。今回、遷延性離脱せん妄の治療として、BZ置換療法と全く正反対の効果であるBZ受容体拮抗薬のフルマゼニルの持続投与が著効した。この事実と遷延性離脱せん妄にBZ系薬物を投与するとさらに遷延させる事実から、通常の離脱せん妄と異なったメカニズムがあると考えられる。アルコール飲料に含まれるGABAがアルコールとともに取り込まれて、アルコール依存成立時のGABA含量が上昇が低く抑えられており、アルコール中止後に過剰なGABAの増加や、GABA_A受容体/BZ受容体/Cl^-チャンネル複合体機能の過感受性があるのではないかと推察される。何れにしてもフルマゼニルはアルコールによる二次性痴呆などの重症な後遺症の発症を予防し、早期社会復帰の一助になる可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] 赤池紀扶: "脳機能の解明-21世紀に向けて-" 九州大学出版会, 615 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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