今年度(平成8年度)は、「ドーパミン・環状AMP関連リン酸蛋白32(DARPP-32)のヒト血中mRNAの検出法」を確立する第一段階として、ヒト脳cDNAライブラリーから同蛋白をコードする部位のPCR法による増幅条件の設定を試みた。 1)プライマーの設計 ドーパミン・環状AMP関連リン酸蛋白32(DARPP-32)についてのcDNAに関する文献を参照にしながら、ヒトのDARPP-32をコードする部位のプライマーを2種類設計し、オリゴヌクレオチドを合成した。 2)PCR法による増幅 上記で合成したプライマーを用いてヒト尾状核cDNAライブラリーから目的とするDARPP-32をコードする部位の増幅をPCR法を用いて試みた。PRC産物をアガロースゲル上で電気泳動した結果、上記2種類のうち1種類で目的とするbaseのbandが認められ、目的とする部位のcDNAが増幅している可能性が示唆された。 3)PCR産物の塩基配列の検出 PCRにより増幅された産物の塩基配列をDNAシークエンス法により調べた。結果は、残念ながら、塩基配列の重複が複数部位で認められ、PCR産物の特異性に疑問がもたれ、plasmidを用いたサブクローニング後にDNAシークエンスを行う予定である。 今年度の研究計画では、ヒト脳cDNAライブラリーからDARPP-32をコードする部位の増幅を行うPCR法の条件を確立すること予定であったが、未だ不十分であるため、来年度初頭までに更に検討を加えていく。
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