研究概要 |
1.側頭葉てんかんの動物モデルとして低頻度電気刺激によるラット海馬部分発作を用いた薬理学的研究を行った。興奮性アミノ酸受容体拮抗薬、特にAMPA型受容体拮抗薬の抗てんかん薬としての可能性を指摘し、同時にそのための神経毒性の軽減化の必要性を示した。更にK^+チャネル解放薬の抗てんかん、てんかん促進作用を示しこれらの効果にCa^<++>チャネル阻害作用が関与していることを指摘した。 2.海馬への電気刺激にアデノシン受容体1型拮抗薬を前投与することにより、発作波(特にSecondary afterdischrge)が延長してんかん重積モデルを作成できることを示した。更に免疫組織学的方法によりこのモデルにおいて熱ストレスタンパク質が10分以下の発作でも出現しうること、さらにカイニン酸投与重積モデルにおいて種々の後期遺伝子群が発作の程度に応じて誘発されることをISH法、免疫組織法を用いて示した。 3.興奮性アミノ酸アンタゴニストの大量投与によりラットの帯状回に神経変性、熱ストレスタンパク質(HSP)の発現がみられることを示した。HSPの発現はAMPA型受容体、ムスカリン受容体、cAMP分解酵素の各拮抗薬で抑制されることを示したが、このHSP発現抑制時にも神経変性がみられることを指摘した。in vivoにおけるHSPの機能的役割について考察を加えた。 4.セロトニン、神経ペプチド、および各ドパミン受容体亜型拮抗薬のドパミン機能への効果を電気生理学的に検討し、非定型抗精神病薬の作用機序に迫った。更に依存性薬物(コカイン、MDMA)などのドパミン機能への効果を検討し、特に依存性薬物の離脱時におけるA10ドパミン系での機能低下を示し、離脱症状(an hedonia,craving)との関連について考察した。
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