研究課題/領域番号 |
08671130
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
太田 耕造 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (10185267)
|
研究分担者 |
庄司 優 東北大学, 医学部, 助手 (10226300)
木村 時久 東北大学, 医学部, 助教授 (00004945)
|
キーワード | Osmotic demyelination / Organic osmolytes / Glutamate / GABA / Nitric Oxide / SIADH / DDAVP / Microdialysis |
研究概要 |
今年度は慢性低Na血症時およびその急激な補正時に発生する浸透圧性障害であるOsmotic Demyelination(脱髄)の成立機構に果たす脳内活性アミノ酸(AA)の役割を明らかにするために、DDAVP投与により作成したSIADHラットを対象に、血清Naの急激な上昇による脳内興奮性AAのGlutamateおよびGlycineと抑制性AAのGABAの変動について微小透析(MD)法を用いて検討した。 方法:10週令(体重約250g)のSDラットの皮下に浸透圧ミニポンプを植え込んで一週間にわたりDDAVPを毎時5ngで投与し、17%Glucoseで飼育して低Na血症を作成した。7日目にMD probeを視床下部に挿入し、翌日意識下にProbeをリンゲル液で潅流した。高張食塩水(2.5MNaCl:HS)の持続静注前、39分後および60分後の計3回潅流液を採取しAA濃度をHPLC-ECD法にて測定した。採血および血圧測定を同時に行い、実験終了後、経心的に脳をホルマリンで潅流固定して摘出し、組織学的検索を行った。 結果:2日目から低Na血症が持続しHS投与前の血清Na濃度および血清浸透圧は122±4mEq/lおよび252mOsm/kgで、HS投与後136±3および276±9、147±3および295±5にそれぞれ上昇した。血圧は128±7mmHg、脈拍は465±13bpmでHS投与により変化しなかった。血中ADH濃度はHS投与前0.5±0.2で、投与後8.7±5.2、45.1±27.2pg/mlと上昇した。潅流液中GlutamateおよびGlycine濃度は正常SDラットに比して高値で、HS投与後にはそれぞれ46%および53%に低下した。GABA濃度は正常SDラットのそれに比して低値であり変化を認めなかった。組織学的には中脳から橋にかけて中心部に脱髄所見が認められた。 考察:慢性低Na血症時には興奮性AAが増加しており、急激な浸透圧補正時にこれが減少することが明らかになった。即ち、脱髄の発生に興奮性AAを伝達物質とする神経活動が関与することが示唆され、来年度に予定しているNO産生の役割を検討する意義が確認された。
|