インスリン依存性糖尿病(IDDM)のモデル動物であるNODマウスにおいては第3染色体上に2つの疾患感受性遺伝子(ldd3とldd10)がマップされている。第3染色体中心体側にマップされているldd3の候補遺伝子としてはll2が想定されており、NODではtripletrepeatの回数の違いを含めてコントロールのB10マウスとの塩基配列の違いが報告されている。同じく第3染色体のテロメア側にマップされているldd10の候補遺伝子としてFcgrlが想定されており、NODでは4塩基の欠失の結果、フレームシフトを生じてpremature stop codonが出現する結果、細胞内ドメインが大きく欠損している。ll2のtriplet repeatの回数の違い、およびFcgr1の4塩基欠失を検出するスクリーニング法を今回新たに開発してNOD関連7系統をスクリーニングした結果、NODと同一のアリルを有する系統が各4系統見いだされた。各系統のll2およびFcgrlの塩基配列を決定した結果、NODと同一の塩基配列であることが確認された。同一の塩基配列であることが判明した系統において周辺のマーカーを解析し、パプロタイプを決定した結果、候補遺伝子を含む組換えハプロタイプ(Ancestral haplotype)の存在を見いだした。これら組換えハプロタイプはそれを導入したコンジェニックNODマウスでIDDM発症頻度を検討することにより、各候補遺伝子が真のldd遺伝子であるか否かを同定できることから、極めて重要な知見と考えられる。
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