研究課題/領域番号 |
08671173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
横山 直方 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (10240219)
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研究分担者 |
小路 武彦 長崎大学, 医学部, 助教授 (30170179)
桐山 健 長崎大学, 医学部附属病院, 助手 (10264219)
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キーワード | アポトーシス / Fas / Fasリガンド / 甲状腺腫 / 細胞増殖 / ヨード |
研究概要 |
甲状腺細胞の増殖とアポトーシス(細胞死)のバランスの破錠(増殖>アポトーシス)により、最終的に細胞数が増加して甲状腺腫が発現するという仮説に基づいて、甲状腺腫を呈する甲状腺組織(ヒト)および実験的ヨード欠乏甲状腺腫(ラット)を対象として、アポトーシスの発現、さらにこれを誘導する特異的蛋白(Fasリガンド:FasL)とその受容体(Fas)の関与を中心に検討した。 バセドウ病(GD)、橋本病(HT)の甲状腺組織におけるFas、FasL(免疫染色)およびapoptotic cell (TUNEL染色)の発現パターンに違いを認めた。正常甲状腺濾胞細胞てはFas、FasL、apoptotic cell発現はほとんど見られないのに対し、GD、HTの濾胞細胞にFasおよびapoptotic cellを認め、FasLはGDではリンパ球やその近傍の濾胞細胞、HTでは血管内血球細胞に発現を認めた。 実験的ヨード欠乏ラットはヨード欠乏食+抗甲状腺薬(PTU)で作成した。PTU投与21日後に甲状腺重量は対照群の平均6.7倍に増加、ヨード再投与14日後には約50%まで退縮した。Fasおよびapoptotic cellの発現増加は甲状腺腫形成期から認められ、退縮早期まで続き、退縮後期(10〜14日)には減少した。連続組織切片でFasとapoptosisが同時に陽性である細胞も確認した。FasL発現も甲状腺腫形成期から認めるが、発現量が弱いため定量的評価は今後の課題である。 アポトーシスが甲状腺形成期から発現していることが確認された。甲状腺腫形成・退縮における甲状腺細胞数の変化を規定する因子として、細胞増殖のみならずアポトーシスも密接に関与することが推測される。今後は甲状腺細胞における細胞増殖の変化およびFas-FasL系の関与の同定が必要である。
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