研究概要 |
バセドウ病と橋本病はよく見る疾患である。前者は甲状腺中毒症、後者は機能低下症の原因である。ともに自己免疫疾患であるが、その発症機構は不明である。バセドウ病、橋本病発症の分子機構を明らかにする。 バセドウ病。自己成分TSH受容体に反応するリンパ球が異常に増殖し(アポトーシスの異常)、TSH受容体に対する抗体(TRAb)ができる。これは甲状腺刺激抗体(TSAb)である。このTSAbが甲状腺を刺激し、甲状腺細胞増殖・分化の異常増大を引き起こし、バセドウ病の原因になる。277人の未治療バセドウ病患者と686人正常人でTSAb、TBIIを測定し、解析し、報告した(Takasu et al : J Endocrinol Invest 20 : 452-461,1997)。 橋本病:甲状腺細胞機能低下。甲状腺細胞に反応するリンパ球が異常に増殖し(アポトーシスの異常)、抗体ができる。この免疫異常が甲状腺細胞のDNA断片化(アポトーシス)を引き起こし、甲状腺機能を低下させ、甲状腺機能低下症になる。成人T細胞白血病ではリンパ球が異常に反応し、抗体ができる。この免疫異常が甲状腺機能を低下させることを明らかにした(Clin Endocrinol 45:461-466,1996)。またブロッキング抗体(TSBAb)による甲状腺機能低下症の発症機構を明らかにした(Clin Endocrinol 47:319-324,1997)。
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